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大阪地方裁判所 昭和43年(わ)1454号 判決 1969年8月13日

本店の所在地

大阪市東住吉区桑津町八丁目五〇番地

株式会社東洋金属熱処理研究所

代表者氏名

川嵜玉男

本籍

広島県呉市汐見町一七九番地

住居

大阪市住吉区山之内町三丁目九五番地

会社員

川嵜玉男

大正七年二月一七日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岡靖彦出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社東洋金属熱処理研究所を罰金二〇〇万円に、被告人川嵜玉男を懲役六月に処する。

被告人川嵜玉男に対し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社東洋金属熱処理研究所(以下単に被告会社という。)は、大阪市東住吉区桑津町八丁目五〇番地に本店を置き、同市生野区巽四条町三〇六番地に巽工場、寝屋川市出雲町一四番二四号に寝屋川工場、川口市錦町九二番地に村上準之助経営名義の東熱工業所の各工場を設置し、一般金属材料の熱処理業等を営む者、被告人川嵜玉男は、被告会社の代表取締役として、被告会社の業務を統括している者であるが、被告人川嵜は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告会社の昭和三九年四月一日から同四〇年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が四、一五六万七、一三四円、これに対する法人税額が一、五一八万九、〇九五円であるのに、公表経理上材料費等の架空仕入を計上し、かつ前記村上準之助経営名義の東熱工業所の工場の収入を被告会社の会計から除外する等の不正行為により、右所得金額中一、二三二万六、三六七円(右内訳は別表Ⅰ欄に記載のとおり)を秘匿したうえ、同四〇年五月三一日大阪市東住吉区東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度分の所得金額が二、九二四万七六七円、これに対する法人税額が一、〇五〇万八、四九〇円である旨過少に記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税四六八万六〇五円を免れ、

第二、被告会社の同四〇年四月一日から同四一年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が三、五〇六万九、二七〇円、これに対する法人税額が一、二二二万七、六七一円であるのに、前同様の不正行為により、右所得金額中一、三二七万三、九三八円(右内訳は別表Ⅱ欄に記載のとおり)を秘匿したうえ、同四一年五月三一日前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度分の所得金額が二、一七九万五、三三二円、これに対する法人税額が七三二万六九〇円である旨過少に記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税四九〇万六、九八九円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示の各事実につき

一、被告会社の登記簿謄本および川嵜玉男作成の昭和四三年三月九日付証明書(被告会社の定款)二通

一、大蔵事務官作成の同年三月四日付証明書(被告会社の昭和三九年度および同四〇年度分法人税確定申告書)二通

一、大蔵事務官作成の同年五月九日付証明書(井上準之助名義の昭和三九年度および同四〇年度分所得税確定申告書)二通

一、次の者らの各検察官に対する供述調書

奥村鉄三 藤谷秀明

村上準之助 村上義臣(三通)

一、収税官吏作成の次の者らに対する各質問てん末書

村上義臣(二通) 奥村鉄三(二通)

三瓶良治 村井信義

藤谷秀明

一、次の者ら作成の各確認書

明仁多喜雄(二通) 古川脩

原野達雄(二通) 奥村鉄三

小松翠 岡阪嘉宜

二宮嗣郎 永松智

堀貞雄(六通) 山本清

大河原正次 田中吉邦

袴田郁夫(二通) 山本寅三郎(二通)

井口隆夫 向井慎

田中徳弥 林慶之助

福岡琢磨 紀陽銀行堺支店

一、次の者ら作成の各供述書

武田修治 田口昭俊

塚元博 中馬一郎(二通)

吉田角一 荒貞夫

一、次の者ら作成の各検査顛末書

坂東覚 中筋正弘

田淵年男 為数三郎

一、奥田実作成の調査顛末書

一、次の者ら作成の各調査嘱記事項に対する回答文書

三和銀行高橋支店 三井銀行渋谷支店

三菱銀行大阪支店 三和銀行福岡支店(二通)

尾沢賢一

一、証人奥村鉄三の当公判廷における供述

一、被告人川嵜玉男の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する供述調書

一、収税官吏の同被告人に対する各質問顛末書(三通)

一、次の各押収物件

総勘定元帳二冊(昭和四三年押第七〇五号の1) 銀行勘定帳二冊(同号の2) 手形受払帳二冊(同号の3) 経費明細帳二冊(同号の4) 売掛金残高表一綴(同号の5) 決算資料一綴(同号の6) 支払手形一覧表綴(同号の9) 固定資産台帳一綴(同号の10) 買掛帳二綴(同号の11.12) 東熱工業所決算書一綴(同号の13) 領収書扣一冊(同号の14) 使用済カーボン紙二綴(同号の15) 手形受払帳一冊(同号の16) 売上帳一綴(同号の17) 仕入帳一綴(同号の18) 買掛帳二綴(同号の19.20) 売掛帳二綴(同号の21.22) 銀行勘定帳二冊(同号の23) 定期預金利息計算書八九枚(同号の24ないし27) 印鑑六四個(同号の28ないし33.35.36) メモ一綴(同号の34) メモ一枚(同号の37) 定期預金利息計算書三枚(同号の38) 三瓶作成定期預金メモ一綴(同号の39)

(法令の適用)

被告会社関係

判示第一の事実につき法人税法(昭和四〇年法律第三四号)

附則第一九条、法人税法(昭和二二年法律第二八号)第四八条第一項、第五一条第一項

判示第二の事実につき法人税法(昭和四〇年法律第三四号)

第一五九条第一項、第一六四条第一項

(併合罪の加重)刑法第四五条前段、第四八条第二項

被告人川嵜玉男関係

判示第一の事実につき法人税法(昭和四〇年法律第三四号)

附則第一九条、法人税法(昭和二二年法律第二八号)第四八条第一項(懲役刑を選択する。)

判示第二の事実につき法人税法(昭和四〇年法律第三四号)第一五九条第一項(懲役刑を選択する。)

(併合罪の加重)刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(判示第二の罪の刑に法定の加重をする。)

(刑の執行猶予)同法第二五条第一項

なお、訴訟費用は、担当でないので、これを被告人両名に負担させない。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 井上清)

犯則所得内訳表

<省略>

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